統計学輪講 第14回
日時 | 2019年9月24日(火) 14時55分 ~ 16時35分 |
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場所 | 経済学研究科棟 3階 第3教室 |
講演者 | 小川 光紀 (情報学環) |
演題 | 切断多変量正規分布のモーメント計算および局外パラメータを含む離散指数型分布族のパラメータ推定 |
概要 |
本発表では,代数統計に由来する道具が関連する二つの話題を紹介する. 前半では,切断多変量正規分布のモーメント計算について議論する. 平均ベクトルがゼロである特殊ケースについて,ホロノミック勾配法,ラプラス近似,重点サンプリングに基づく3種類の計算方法を与え,それらの挙動を数値実験により比較する. これらの方法のうち,ホロノミック勾配法は微分方程式の代数的取り扱いを基礎とする数値計算手法である. 後半では,局外パラメータを含む離散指数型分布族のパラメータ推定問題を扱う. この問題に対して条件付き尤度に基づく方法を直接適用すると,規格化定数の計算が障害となり実施困難な場合がある. 本発表では,規格化定数計算を必要としない,局所複合 Bregman ダイバージェンスに基づく推定手法を与える. このダイバージェンスの構成では,標本空間におけるある種の連結性が必要になるが,その際に代数統計で研究が進められてきたマルコフ基底の議論が直接役立つことを紹介する. |