統計学輪講 第22回
日時 | 2019年12月3日(火) 14時55分 ~ 15時45分 |
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場所 | 経済学研究科棟 3階 第3教室 |
講演者 | 小田 秀匡 (情報理工D1) |
演題 | Shrinkage Effect on Complex Autoregressive Model |
概要 |
平均既知・分散未知の複素多変量正規分布のベイズ推定量の縮小効果 (shrinkage effect) に関する研究成果を紹介する。 自己共分散未知の複素自己回帰モデルの Jeffreys 事前分布は非正則な事前分布であるが、このモデル分布族上の優調和関数を具体的に構成することにより、 (1) 最尤推定量に基づく予測分布と (2) Jeffreys 事前分布に基づくベイズ予測分布 とを KL-ダイバージェンスに基づくリスク(汎化誤差)の意味で漸近的に優越できるベイズ予測分布を具体的に構成できた。 提案するベイズ予測分布を与える事前分布は、高次の自己共分散を 0 に近づける(白色雑音に重みを置く)タイプの事前分布であり、 観測された複素時系列の自己共分散を経験的に得られた値よりも白色雑音に近づけた方が、予測という観点では有利であることを示唆している。 時間が許せば、ベイズ予測の改善と複素統計多様体との関係に関して基本的事項と研究成果とを紹介する。 統計多様体上で正優調和関数を構成することができれば、Jeffreys 事前分布に基づくリスクを一様に漸近的に優越する事前分布を構成することができることが知られている [2]。 また、複素 AR モデルの統計多様体には Kähler 多様体の構造が導入されることが知られている [3]。 実際に、複素 AR モデルの統計多様体上では正優調和関数を具体的に構成できたため、Jeffreys 事前分布に基づくリスクを一様に優越する事前分布を構成することができた。 改良された事前分布に基づく事後分布の漸近挙動を明らかにし、有限サンプル時の挙動について数値実験結果を紹介をする。 参考文献: [1] FUMIYASU KOMAKI, On asymptotic properties of predictive distributions, Biometrika, Volume 83, Issue 2, June 1996, Pages 299–313 [2] Komaki, Fumiyasu. Shrinkage priors for Bayesian prediction. Ann. Statist. 34 (2006), no. 2, 808--819. [3] Choi, J.; Mullhaupt, A.P. Kählerian Information Geometry for Signal Processing. Entropy 2015, 17, 1581-1605. |