統計学輪講 第10回

日時 2020年6月23日(火)
14時55分 ~ 16時35分
場所 Zoomオンライン開催(URLはシラバスまたは参加者メーリスをご確認ください)
講演者 宇佐美 慧 (教育)
演題 個人内変動に基づく縦断データ分析の展開
概要

複数の個人から追跡的に収集された縦断データにおいて、個人内変動(within-person variability)に基づいて変数間の関係性を推測することの重要性が、心理統計学や行動科学の領域を中心に近年強く指摘されている。特に、複数の変数間の縦断的関係を調べる目的で頻繁に利用されるクロスラグモデル(交差遅延モデル)においては、個人内変動を捕捉しながら母数を推定する方法論が2000年代以降数多く発表されてきた。
本発表の前半では、発表者による研究成果を基に、これまで提案されている様々なクロスラグモデル間の概念的・数理的比較、およびモデルの利用動向についての説明を行い、特に特性因子(stable trait factor)と呼ばれる共通因子を含めた分析アプ ローチの重要性を指摘する。後半では、特性因子を統制することによって得られる、個人内変動スコアを用いた因果推論のアプローチを説明する。具体的には、時変的な交絡変数の影響を統制しながら時変的な処置効果を推定する場合を想定して、周辺構 造モデルや構造ネスト平均モデルのような潜在反応アプローチ(potential response/outcome approach)を併用した段階推定を行う。東京ティーンコホート(TTC)データを用いた解析例についても併せて紹介する。