統計学輪講 第11回

日時 2020年6月30日(火)
15時45分 ~ 16時35分
場所 Zoomオンライン開催(URLはシラバスまたは参加者メーリスをご確認ください)
講演者 羽村 靖之 (経済D2)
演題 縮小事前分布を用いた統計的推測の理論に関する話題
概要

次の二つの話題について紹介する。
1. 負の多項分布の母数のベイズ縮小推定について紹介する。
負の多項分布は、負の二項分布の多変量への一つの一般化である。
本発表では、標準化された二乗損失の下で負の多項分布の観測に基づき未知の確率から成る行列を推定する問題を扱う。
まず、あるクラスの縮小推定量が UMVU 推定量を優越するための一般的な十分条件を導出し、その条件を満たすような経験ベイズ推定量を構成する。
次に、階層的縮小事前分布を導入し、対応するベイズ推定量が適当な条件下で UMVU 推定量を優越することを示す。
ポアソン分布の場合との比較も行う。
最後に、シミュレーションにより縮小推定量と UMVU 推定量を比較する。
2. 平均と分散が未知の正規分布の観測を用いたカイ二乗分布の予測について簡単に紹介する。
将来のカイ二乗分布に従う確率変数の密度関数を、独立なカイ二乗分布と正規分布の観測に基づき、カルバック・ライブラー損失の下で予測する問題を考える。
これらの三つの分布は未知の尺度母数を共有すると仮定する。
また正規分布の位置母数も未知であると仮定する。
不変な事前分布に基づきカイ二乗分布の観測のみを用いるベイズ予測密度と、階層的な縮小事前分布に基づきカイ二乗分布と正規分布の観測を共に用いるベイズ予測密度を、比較する。
後者が前者を改良するためのいくつかの十分条件を与える。