統計学輪講 第12回

日時 2020年7月7日(火)
14時55分 ~ 15時45分
場所 Zoomオンライン開催(URLはシラバスまたは参加者メーリスをご確認ください)
講演者 武石 将大 (経済M2)
演題 Maximum smoothed partial likelihood estimator for change-plane Cox model
概要

発表者が現在行っている研究の途中経過を報告する。
生存時間解析において、共変量の影響が他とは異なる集団(サブグループ)の存在を仮定したChange-plane Coxモデルが [1] や [2] によって提案されている。このモデルにはサブグループの分類に関する共変量Xと生存時間に対する影響に関する共変量Zが含まれており、それぞれの共変量の係数となっているパラメータが主要な推定の対象となる。
このモデルの推定について[1]と[2]はそれぞれ、Xが一次元の場合、Xが多次元だが全て連続の場合を考えている。しかし、これらの先行研究は以下の2点の問題を抱えている:(1)より一般的と言えるX が多次元かつ離散の変数を含むケースは考えられていない。(2)Xが多次元の場合についてはその推定量の漸近分布が導出されておらず、Xが一次元の場合に限っても推定のための目的関数となる部分尤度の非連続性より一部のパラメータの推定量の漸近分布は推測の難しい特異なものへと収束している.これらの問題を解決するべく、本研究では部分尤度を滑らかな関数で近似して、この滑らかな目的関数の最大化点としてパラメータの推定量を提案する。そして、Xが離散の変数を含む場合でも一定の条件を満たせばモデルは識別され、推定量が真のパラメータに対して一致性を持つことを示した。

参考文献:
[1] Pons, O. (2003) Estimation in a Cox regression model with a change-point according to a threshold in a covariate. Ann Statist., 31, 442-63.
[2] Wei, S. and Kosorok, M. (2018). The change-plane Cox model. Biometrika., 105(4), 891-903.