統計学輪講 第20回

カーネル密度推定に代表されるような，スムージングを用いたノンパラメトリック密度推定には，バンド幅の選択が必要となる．近年，バンド幅選択が必要ない自動的なノンパラメトリック推定の手法として，密度関数が対数凹関数であるという形状制約を用いた最尤推定法が提案され，その性質や求め方についての研究が進んでいる．
理論的には，ユークリッド空間において，対数凹な確率密度の最尤推定量が一意に定まることや，その推定量が．モデルが誤指定された場合を含めて良い理論的性質を持つことがわかっている．また，最尤推定量の計算手法としては，1次元の場合，多次元の場合のそれぞれで，複数のアルゴリズムが提案されてきた．
本発表では，まず対数凹な密度の理論的な性質について説明してから，最尤推定量の計算の手法を説明する．また，その応用例についても言及する．