統計学輪講 第22回
日時 | 2020年12月15日(火) 14時45分 ~ 16時35分 |
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場所 | Zoomオンライン開催(URLはITC-LMSまたは参加者メーリスをご確認ください) |
講演者 | 長尾 大道 (地震研) |
演題 | ガウス過程回帰に基づく余震発生頻度予測 |
概要 |
大地震後に惹き起こされる余震の発生頻度は、本震発生からの経過時間とともに減衰することを記述する大森−宇津則[1]やGutenberg-Richter則(GR則)[2]に概ね従うことが古くから知られているが、実際には大きな余震はさらなる余震を惹き起こすために余震発生頻度は単調減少とはならない。現在ではこの自己励起性を考慮したEpidemic Type Aftershock Sequence (ETAS) モデル[3]が、余震発生頻度モデルとして広く用いられている。これまでに、地震カタログからETASモデルのパラメータを推定するための様々な手法が提案されているが(例えば[4])、本震発生直後は地震波形データのS/Nが極めて悪くなり、余震を漏れなくリストアップすることは困難となる。そのため、本震直後は気象庁の地震カタログに掲載されていない余震が数多くあることが確実であり、余震発生頻度に関するパラメータには大きな推定バイアスが入ることが予想される。 本研究では、余震検知確率の平均の時間変化を表す関数の推定にガウス過程回帰を導入することにより、余震発生頻度予測の精度向上に努めた。数値実験ならびに2004年中越地震の実データに基づく検証を行ったところ、従来法よりも良い推定が得られることを示唆する結果が得られた。 ※本研究は、大阪大学大学院基礎工学研究科の森川耕輔先生・寺田吉壱先生、地震研究所の平田直先生・酒井慎一先生・伊藤伸一先生との共同研究である[5]。
参考文献: |