統計学輪講 第1回

日時 2021年4月6日(火)
14時55分 ~ 16時35分
場所 Zoomオンライン開催(URLはITC-LMSまたは参加者メーリスをご確認ください)
講演者 倉田 博史 (総合文化)
演題 線形回帰モデルにおける一般化最小2乗推定量に関する幾つかの結果
概要

線形回帰モデルにおける一般化最小2乗推定量(GLSE)に関する筆者の近年の結果を2つ紹介する。下記の(2)の結果は慶応大学理工学部の松浦峻先生との共同研究である。
(1) Rao の共分散構造について。誤差項の分散行列が単位行列の定数倍であるとき、通常の最小2乗推定量(OLSE)が最良線形不偏推定量(BLUE)となるが、よく知られている通り、OLSEはより一般の分散行列の下でもBLUEとなり得る。そのような分散行列の構造は Raoの共分散構造と呼ばれ、古くから多数の研究がある。本講演では、Rao の共分散構造に関する一つの結果を追加する。
(2) 相関係数が既知の見かけ上無関係な回帰(seemingly unrelated regression, SUR)モデルにおける推定問題について。SURモデルとは、誤差項の分散行列が単位行列の定数倍であるような複数個の回帰モデルがあり、それらが互いに相関(同時点的相関)を持っているようなモデルである。各回帰式に位置尺度変換群を作用させたときの最大不変量パラメータは相関係数行列となる。本講演では、最大不変量パラメータである相関係数行列が既知の場合における、回帰係数と分散行列の推定問題に関する結果(Kurata and Matsuura (2016,AISM), Matsuura and Kurata (2019, Stat. Method. App.), Matsuura and Kurata, (to appear, STPA))のうち後半の2本の論文の概要を紹介する。