統計学輪講 第14回

日時 2021年10月5日(火)
14時55分 ~ 16時35分
場所 Zoomオンライン開催(URLはITC-LMSをご確認ください)
講演者 明石 郁哉 (経済)
演題 無限分散非定常時系列モデルに対する推測論・不規則観測空間データに対する最近の研究
概要

本報告では、次の2つのトピックについて最近得られた結果を紹介する。

非定常無限分散過程に対する頑健な推測論の構成:Dahlhaus による一連の研究(1997~)や関連する研究により、非定常過程の代表例である局所定常過程に対する推測論は発展してきたが、これまでの研究はモデルの有限分散の存在を仮定したものであった。しかし現実のデータの中には無限分散を持つ確率過程から生成されたかのようなふるまいを示すものが多くあり、またモデルのスケールも変動している様子が観察される。そこで本研究では自己加重法を用いた推定量と、一般化経験尤度統計量に基づく信頼領域の構成法を提案し、無限分散時間変動モデルに対する頑健な推定手法を構成する。

不規則観測された空間時系列モデルの補間問題について:定常確率場からの観測系列に基づく予測手法の構成は、これまで観測点がある領域に限られた場合や、格子点上で観測される場合において考えられてきたが、本研究ではその制約を緩め、格子点とは限らない位置で観測された空間データに対する予測子の構成を考える。直観的には、「標本が観測される領域が拡大しつつ、観測点の密集度が高まる状況」を仮定し、カーネル密度推定量の一様収束レートを導出する。本結果は、非線形加法的kriging推定量の漸近的性質を示す際の基礎となるものである。