統計学輪講 第16回

日時 2021年10月19日(火)
14時55分 ~ 16時35分
場所 Zoomオンライン開催(URLはITC-LMSをご確認ください)
講演者 倉田 澄人 (情報理工)
演題 頑健性を持つ統計的ダイバージェンスに基づくモデル選択とその拡張
概要

AICに代表される情報量規準の多くは、確率分布間の「遠さ」を測る尺度であるダイバージェンスの一つであるKL divergenceに基づき、データの背後にある真の確率分布と最も「近い」モデル分布を選択するものとして導出されている。本発表ではダイ バージェンスに基づいて導出されるモデル評価規準に関して、外れ値から受ける影響を抑える能力(頑健性)について検討を行う。
頑健なモデル評価規準については、例えば、母数推定における頑健性に優れたBHHJ divergence family (Basu et al. (1998), Ghosh and Basu (2013))に基づいた規準が提案されている(Kurata and Hamada (2018, 2020))。
ところで、BHHJ divergenceはKL divergenceを拡張した族であるが、これをも含んだ更に広い族も存在する(e.g., Jones et al. (2001), Vonta et al. (2012), Maji et al. (2019))。本発表では頑健性を有するモデル選択規準の拡張可能性に関して数値例を交え紹介し、各ダイバージェンスに基づいた規準が頑健なモデル選択を成せるための条件と、推定の頑健性と選択の頑健性が必ずしも同値とはならないということについて取り上げる。