統計学輪講 第15回

日時 2022年10月18日(火)
14時55分 ~ 16時35分
場所 ハイブリッド開催
講演者 小池 祐太 (数理科学)
演題 対数凹な独立同分布確率ベクトルの和に対する高次元中心極限定理
概要

n個の独立なd次元確率ベクトルの和に対する正規近似の精度を評価する問題を考える。ここでは評価式が次元dに対してどのように依存するかに興味があり、これは正規分布との距離の測り方によって大きく変わってくる。近年、Chernozhukov、 ChetverikovおよびKatoの一連の研究によって、距離として矩形に関する一様距離(Kolmogorov距離の多次元化の1つ)をとれば、次元dがnよりもはるかに大きいような状況でも非自明な評価が得られることが示された。これは他の典型的な距離には見られない特徴であり、高次元データ解析への応用において有用である。共分散行列が非退化でかつ確率ベクトルの従う分布が対数凹な場合、この距離に対する評価のオーダーとして(log^3d/n)^{1/2}log nが得られることが示されている。同様の評価が、対数凹性を確率ベクトルの最大値ノルムの一様有界性に置き換えても成立することが示されている。また、これらの評価はlog nの項を除いて最適であることが知られている。本報告では、「共分散行列が非退化」という仮定がなくても、確率ベクトルの従う分布が対数凹であれば、ある3以上の定数aについて(log^a(dn)/n)^{1/2}というオーダーの評価が得られることを示す。スペクトルギャップに関するKannan-Lovasz-Simonovitsの予想が正しければ、この評価においてa=3とすることができる。「射影版」p-Wasserstein距離に対してほぼdimension-freeな評価が得られるという結果を示すことが証明のキーとなる。本報告はXiao Fang氏(CUHK)との共同研究に基づく。