統計学輪講 第17回
日時 | 2022年11月01日(火) 14時55分 ~ 16時35分 |
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場所 | ハイブリッド開催 |
講演者 | 入江 薫 (経済) |
演題 | ガンマ分布の形状パラメータの推定 |
概要 |
ガンマ分布の形状パラメータに関する推測は、尤度関数がガンマ関数(の逆数)を含むことから、解析的に行うことが難しい。本講演では形状パラメータの点推定とベイズ推定に関する研究成果を報告する。 点推定については、対数尤度方程式がdigamma関数を含むため、最尤推定量を陽に求めることができない。モーメント推定量は陽に得られるが、推定量の漸近分散が大きくなってしまう。スコア調整推定量は、尤度方程式に近いモーメント方程式の解として得られる推定量であり、陽に求めることができ、かつ最尤推定量に近い漸近分散を持つ。スコア調整法はベータ分布や、より広い分布族の形状パラメータの推定に適用可能である。 MCMCを用いたベイズ推測においても、形状パラメータの完全条件付き事後分布はガンマ関数の逆数(の累乗)を含む複雑な密度関数を持ち、そこからサンプリングすることは難しい。本講演では既存のアプローチのサーベイを行ったうえで、新たなサンプリングの手法を与える。この手法はパラメータ拡大法と独立メトロポリス・ヘイスティングス法を組み合わせた簡易なアルゴリズムであり、従来手法より多くの場面で効率的となることが確かめられている。また、ガンマ関数(の逆数)を含む密度関数をもつ他のモデル(ディリクレ分布、t分布、ウィシャート分布など)にも適用可能である。 (玉江大将氏、久保川達也教授、羽村靖之講師、菅澤翔之助准教授との共同研究) |