統計学輪講 第20回

日時 2022年11月29日(火)
14時55分 ~ 15時45分
場所 ハイブリッド開催
講演者 澤谷 一磨 (経済M1)
演題 近似メッセージ伝播法を用いた単調single index modelの高次元漸近挙動の解析
概要

本研究では、非スパースを許容する比例的高次元の設定において、単調制約付きsingle index modelに対する推定量のアルゴリズムを提案し、不動点の高次元漸近挙動を示す。

近年の高次元統計学では確率集中不等式を用いた非漸近論にかわり、サンプルサイズnと次元pが比例的に発散する比例的高次元における漸近理論が活発に研究されている。例えば一般化線形モデルの推定において、n>pであってもpがnと同じオーダーで発散する限り最尤推定量は一致性を持たず、漸近的に無視できないバイアスが残ることが知られている [1]。

今回は、このGLMの結果をリンク関数未知のセミパラメトリックモデルに拡張する。特に、一般化近似メッセージ伝播法とdeconvolutionにより推定アルゴリズムを構成し、そこから導かれる非線形連立方程式を用いて不動点の漸近バイアスを推定する。これをもとに推定量の漸近的な損失の値を特徴付けるとともに、妥当な検定統計量を提案する。

[1] Sur, Pragya, and Emmanuel J. Candès. "A modern maximum-likelihood theory for high-dimensional logistic regression." Proceedings of the National Academy of Sciences 116.29 (2019): 14516-14525.