統計学輪講 第05回

日時 2023年05月09日(火)
14時55分 ~ 15時45分
場所 経済学部新棟3階第3教室
講演者 若山智哉 (経済D1)
演題 Bayesian Analysis for Over-parameterized Linear Model \\Under Non-Sparse Prior
概要

高次元ベイズ統計では、推定パラメータのスパース性を導く事前分布など、いくつかの手法が開発されている。しかし、このような事前分布は、データのスペクトル固有ベクトル構造を扱うのに限界があり、その結果、近年開発されている過剰パラメーターモデル(スパース性を仮定しない高次元線形モデル)の解析には適さない。本発表では、データの共分散構造に依存する事前分布を用いながらも、パラメータのスパース性を仮定しないベイズ法を紹介する。また、導出された事後分布のposterior contractionを示し、事後分布の切断ガウス近似を開発する。前者は事後推定の一致性を示し、後者はBernstein-von Mises型のアプローチで事後推論の不確実性を定量化することを可能にする。これらの結果は、データのスペクトルを扱える手法であれば、非スパースな高次元パラメーターを推定できることを示す。
また、本研究の枠組みでは、過剰パラメーター理論で従来課されてきたデータの制約を緩められることについても議論する。
本発表は今泉允聡准教授との共同研究に基づく。