統計学輪講 第06回

　公共政策、教育、医療における介入は逐次的・動的に行われることが多い。例として、複数の段階からなる職業訓練、複数の学年にわたって実施される教育プログラムなどが挙げられる。動的な介入では、過去の介入や状態によって、各段階の介入の効果に異質性が存在する。そのため、最適な動的介入計画をデザインするためには、各段階の介入効果の異質性を考慮する必要がある。
　本発表では、最適な動的トリートメント・レジームの統計的学習方法に関する自身の研究を紹介する。とくに、最適な動的トリートメント・レジームの二重頑健推定に関する研究を発表する。本研究では、policy value functionの二重頑健推定とcross-fittingを組み合わせることで、2種類の局外要素をノンパラメトリック法で推定した場合でも、推定された動的トリートメント・レジームのリグレットは、比較的緩い条件のもと、パラメトリックレートで収束することを示している。応用例として、Project STARのデータを使った、早期教育における少人数クラスと補助教員付きクラスへの生徒の最適な割り当てレジームの推定を紹介する。