統計学輪講 第07回

日時 2023年05月23日(火)
15時45分 ~ 16時35分
場所 経済学部新棟3階第3教室
講演者 津田 俊樹 (経済D1)
演題 Uniform Confidence Band for Marginal Treatment Effect Function
概要

近年, 経済学において対象の異質性を考慮したプログラム評価が盛んに行われている. その中でも, 限界介入効果(MTE: Marginal Treatment Effect)とは, 処置選択における観測不可能な異質性に基づいた処置効果の一種であり, 平均介入効果などの処置効果を構成することができるなど, 注目を集めている.

また区間推定は, 推定値の不確実性を評価する手法として広く知られており, とりわけ実証研究などにおいては, その図示の容易さから広く用いられている. 関数全体として評価をする際には一様信頼区間に基づいて構成されるのが望ましいが, MTE関数に関する一様信頼区間の構成についてはほとんど結果がなく , 各点における評価をもとに信頼区間を構成しているのが現状である.

本発表ではMTE関数に対する一様信頼区間の構成について, 遂行中の研究について紹 介する.
[1]では, 条件付き平均介入効果関数に対する一様信頼区間の構成を検討している. 具体的には, 統計量に対して[2]の結果などを駆使しながら, Gaussian processへの近似を行なっている. 本研究では, [1]の結果を参考にMTE関数に対して一様信頼区間が構成できることを検討する.
本発表は奥井亮教授との共同研究に基づく.

参考文献:
[1]Lee, S., R. Okui, and Y.J. Whang (2017). Doubly robust uniform confidence band for the conditional average treatment effect function. Journal of Applied Econometrics 32 (7), 1207–1225.

[2] Chernozhukov, Victor, Denis Chetverikov, and Kengo Kato (2014). Gaussian approximation of suprema of empirical processes. The Annals of Statistics 42 (4), 1564-1597.