統計学輪講 第09回
日時 | 2023年06月13日(火) 15時45分 ~ 16時35分 |
---|---|
場所 | 経済学部新棟3階第3教室 |
講演者 | 足立 勝 (情報理工M2) |
演題 | 双対平坦空間上のHamiltonian Monte Carlo法とその収束レート |
概要 |
確率分布からのサンプリングは統計とその周辺において非常に基本的な問題であり, マルコフ連鎖モンテカルロ法 (MCMC)は汎用的なサンプリング手法の枠組みである. MCMCの一種であるHamiltonian Monte Carlo (HMC)は高次元の確率分布からのサンプリングに対しても効率的な手法であることが知られているが, その提案分布は目的分布の局所的な構造を反映していない. この点を解決したのがRiemann manifold Hamiltonian Monte Carlo (RMHMC)である. 一方で, RMHMCにおいては, 正準方程式に対する保測かつ可逆な数値スキームとして, 陰的な数値スキームが必要となりHMCと比較したときに計算コストが高いという問題点がある. 本研究では, 標本空間の双対平坦構造に基づいたHMCベースのMCMC手法を提案し, HMCとRMHMCの抱える問題の克服を目指した. Hamilton方程式を厳密に解けるという仮定のもとで, coarse Ricci curvatureを評価することによって1-Wasserstein距離とtotal variation距離に関する提案手法の収束レートの解析を行った. Hamilton方程式をleap-frog法などで離散化した場合にはMetropolis testが必要になり, coarse Ricci curvatureの評価及びそれを用いた1-Wasserstein距離での収束レートの評価が困難になるが, 本研究では提案手法に限定されずMetropolis-Hastings法が1-Wasserstein距離で指数収束する十分条件を示した. |