統計学輪講 第11回

日時 2023年06月27日(火)
14時55分 ~ 15時45分
場所 経済学部新棟3階第3教室
講演者 澤谷 一磨 (経済M2)
演題 非対称リンク関数を用いた高次元一般化線形モデルの統計的推論
概要

回帰係数の次元がサンプルサイズと同程度の高次元領域において、一般化線形モデル(GLM)を用いたデータ解析に適用可能な統計的推論の方法論を構築する。GLMの一例であるロジスティック回帰については [1] による先駆的な手法が開発されているが、他のGLMへの直接的な適用は非自明である。そこで本研究では、非対称なリンク関数をもつGLMのクラス全体に対して適用できる新しい推論方法を提案する。具体的には、まず新たな凸損失を導入し、それに基づく推定量の漸近分布をある非線形連立方程式で定まるパラメータで特徴付ける。さらに、未知のハイパーパラメーターである信号強度を一致推定する統一的な方法を考案する。結果として、それらを用いて高次元GLMの回帰係数推定量の妥当な信頼区間を構成することができる。最後に、数値シミュレーションによりこの結果の整合性を示す。

[1] Pragya Sur and Emmanuel J. Candès. "A modern maximum-likelihood theory for high-dimensional logistic regression." Proceedings of the National Academy of Sciences 116.29 (2019): 14516-14525.