統計学輪講 第12回

日時 2023年07月04日(火)
14時55分 ~ 15時45分
場所 経済学部新棟3階第3教室
講演者 桝田 陸 (経済M2)
演題 Dynamic Bayesian Predictive Synthesisの逐次推定とその応用
概要

Bayesian Predictive Synthesis(BPS)は、複数の予測分布を合成して一つの予測分布を構成する様々な予測統合法に対して、それを統合関数のデザインという枠組みから基礎づけをした包括的なフレームワークである。
BPSの拡張であるDynamic Bayesian Predictive Synthesis(DBPS)は、時系列分析の文脈において、各々の予測分布の過去の予測性能を学習することで現在時刻の統合関数を決定する。その計算のために利用されるのはMCMC法であり(例えば[1]、[2] など)、[3] では結果としてDBPSとして記述可能なモデルをSMCで計算しているものの、包括的にDBPSのフレームワークからSMCの使用について言及している文献はない。
本発表ではBPSおよびSMCについて基本的な説明をした後に、SMCの一種であるBootstrap Particle FilterをDBPSの枠組みに対して導出するほか、[1]で使用されるDBPSについて、より効率の良いSMCであるRao-Blackwellized Particle Filterを導出する。また、SMCの実行によりDBPSの予測密度をMCMCよりも速く計算することが可能になるため、それを利用した手法についても紹介する。
[1] McAlinn, Kenichiro, and Mike West. "Dynamic Bayesian predictive synthesis in time series forecasting." Journal of econometrics 210.1 (2019): 155-169.
[2] Aastveit, Knut Are, Jamie L. Cross, and Herman K. van Dijk. "Quantifying time-varying forecast uncertainty and risk for the real price of oil." Journal of Business & Economic Statistics (2022): 1-15.
[3] Billio, Monica, et al. "Time-varying combinations of predictive densities using nonlinear filtering." Journal of Econometrics 177.2 (2013): 213-232.