統計学輪講 第12回

進行がんに対する検証的臨床試験では、無増悪生存期間や全生存期間といった複数の主要変数を設定することがある。主要変数を複数設定する場合は検定の多重性の問題が生じるため、その対処策の1つとして固定順序法が頻用される。加えて、試験治療の早期承認を目的に中間解析及び群逐次検定が用いられることもある。しかし、固定順序法や群逐次検定に基づき報告された治療効果推定値は条件付きバイアスを持つ。主要変数が単一の群逐次検定におけるバイアス補正法は複数存在するが、主要変数が複数ある場合の補正法は検討されていない。本研究では、固定順序法と群逐次検定を併用した状況における条件付きバイアス補正法の提案とそのシミュレーション評価を行った。