統計学輪講 第25回

日時 2024年01月09日(火)
15時45分 ~ 16時35分
場所 経済学部新棟3階第3教室 および Zoom
講演者 上野 颯人 (情報理工M1)
演題 Adaptive test for ergodic diffusions plus noise(文献紹介)
概要

近年, 株価や風速などのデータが高頻度に観測・管理されるようになり, これらの高頻度データの利活用について研究が行われてきた. 高頻度データのモデリング手法として, 拡散過程(diffusion process)を用いるものがある. 拡散過程によるモデリングにおいて, 一般の拡散過程に対して尤度を陽に計算することは難しいため, 局所正規近似に基づいて構成される擬似尤度を用いてパラメータの推定を行うというアプローチが知られており, 様々な設定のもとで研究が進んでいる. ここで, 拡散過程を用いたモデルに対しても, 複数のモデルを比較するための方法として本文献[1]の主題である仮説検定の重要性が高く, 前述の擬似尤度に基づいて尤度比検定統計量などの種々の検定統計量を構成することができ, その漸近的な性質についても研究が進んでいる.
また, 高頻度金融データを扱う際に考慮すべき問題の一つとして, マーケット・マイクロストラクチャー・ノイズと呼ばれる観測ノイズが混入してしまうことが知られている. 本文献[1]では, この観測ノイズを考慮した ergodic diffusion-plus-noise model と呼ばれるモデルに対するパラメトリックな検定手法が提案されている.

[1] Shogo H. Nakakita, Masayuki Uchida: Adaptive test for ergodic diffusions plus noise. Journal of Statistical Planning and Inference, 203(2019), pp. 131–150.