統計学輪講 第02回

日時 2024年04月16日(火)
14時55分 ~ 16時35分
場所 経済学部新棟3階第3教室
講演者 下津 克己 (経済)
演題 動的離散選択モデルにおける割引率の識別問題
概要

本発表では、動的離散選択モデルにおける割引率の識別問題に関する自身の研究を紹介する。

個人や企業の多くの決定は、将来に関する期待や予測に基づいて行われる。動的離散選択計量経済モデルは、個人や企業の動的行動を理解し政策評価をするためのツールとして幅広い実証研究で用いられてきた。

動的離散選択モデルの分析において、割引率は今期の効用と来季の効用のトレードオフを決定する重要なパラメーターである。しかしながら、既存研究においては、割引率は識別されない、もしくは識別が難しいと認識されていた。本研究は、標準的な動的離散選択モデルにおいて、適切な制約の下で、割引率は有限個の値まで識別されることを示す。さらに、効用関数において一般的に用いられる、ダミー変数に関する加法性や状態変数に関する線形性などの関数形の仮定が、割引率を識別するための強い制約を与えることを示す