統計学輪講 第10回

日時 2024年06月25日(火)
15時45分 ~ 16時35分
場所 経済学部新棟3階第3教室 および Zoom
講演者 塩谷 天章 (数理D2)
演題 Modeling lead-lag effect using bivariate Neyman-Scott processes with gamma kernels
概要

Lead-lag効果とは, 2つの確率過程の間の時間的に非対称な相関関係のことである. 本研究では, 2つの点過程間のlead-lag効果の推定について考える. 関連の深い2つの金融資産の取引時刻の系列などが, 対象となるデータの代表的な例である.
本研究では, Neyman-Scott点過程というモデルをベースに, 2つの金融資産の取引時刻間のlead-lag効果の推定に適した2変量点過程モデルの構築を試みる. 実データを用いた実験によると, 発散するガンマカーネルを備えたモデルがデータの相関構造をよく表す一方, モデルのモーメント密度という量の正則性が破綻し, 既存の漸近理論の仮定が満たされなくなってしまう. そこで, Neyman-Scott点過程の構造を利用した評価を行うことで, 提案モデルのパラメータ推定の一致性と漸近正規性の証明を与えた.
また, シミュレーションによるパラメータ推定の数値実験結果と, 日本個別株の高頻度取引データを用いた提案モデルの妥当性の検証結果, またモデルの具体的な利用法についても説明する予定である.
本発表は吉田朋広教授との共同研究の内容に基づく.