統計学輪講 第11回

日時 2024年07月02日(火)
14時55分 ~ 15時45分
場所 経済学部新棟3階第3教室 および Zoom
講演者 中村 元 (情報理工M2)
演題 効率的な逐次モンテカルロ近似ベイズ計算に向けた採択閾値評価
概要

尤度関数の計算が困難なモデルにおいてベイズ推論をするとき,尤度の評価の代わりにモデルのシミュレーションに依存する手法として近似ベイズ計算(ABC)がある.特に ABC の有力な手法として,逐次モンテカルロ近似ベイズ計算(SMC ABC)[1]が提案されている.[2] では,微分方程式に基づくモデルにおいて ABC を実行する際、正確な事後分布を表現する為にはシミュレーション段階でモデルの誤差項を考慮する必要があることを指摘しているが、一般に計算効率の低下を招く.そこで本研究では、シミュレーション段階で誤差項を加えない方式の SMC ABC において得られるサンプリングの系列から、正確な事後分布を良く近似するものを選択する為の評価基準を提案する.

[1] Toni T, Welch D, Strelkowa N, Ipsen A, Stumpf MP. ”Approximate Bayesian computation scheme for parameter inference and model selection in dynamical systems”. J. R. Soc. Interface 6, 187–202, 2009.
[2] Amani A Alahmadi, Jennifer A Flegg, Davis G Cochrane, Christopher C Drovandi, Jonathan M Keith. ”A comparison of approximate versus exact techniques for Bayesian parameter inference in nonlinear ordinary differential equation models”. Royal Society open science, 7(3), 191315, 2020.