統計学輪講 第12回

日時 2024年07月09日(火)
15時45分 ~ 16時35分
場所 経済学部新棟3階第3教室 および Zoom
講演者 酒井 真菜 (経済M2)
演題 2次不偏なベイズ推定量の導出とその性質
概要

一般に、ベイズ推論において、事後平均はパラメータの不偏推定量になるとは限らない。本研究では、2次不偏な事後平均を生成する事前分布が存在するのはどのようなときか、そして存在する場合、その事前分布をどのようにして構成できるかを考察する。
まず、サンプルサイズをnとするとき、固定した事前分布に対する事後平均のバイアスをO(1/n)の項まで評価する。続いて、O(1/n)の項が0になる条件を求めることで、2次不偏な事後平均を生成する事前分布が存在する条件を示す。そしてそのような事前分布が存在する場合は、その構成方法についても紹介する。
パラメータが1次元の場合、そのような事前分布は必ず存在し、特にFisher情報量を事前分布として用いるとき対応する事後平均が2次不偏となる。また、パラメータが多次元の場合はそのような事前分布が存在するとは限らないが、実際に具体的なモデルの事前分布を構成し、その特徴を考察する。