統計学輪講 第13回

日時 2024年07月16日(火)
14時55分 ~ 16時35分
場所 経済学部新棟3階第3教室
講演者 小池 祐太 (数理)
演題 高次元データに対するブートストラップ法と漸近展開
概要

独立な確率ベクトルの和の成分の最大値として与えられる統計量の分布に対するブートストラップ近似は,次元がサンプル数よりもはるかに大きいような超高次元の設定においても適当なモーメント条件下で正当化できることが,V. Chernozhukov, D. ChetverikovおよびK. Katoらによる近年の研究によって明らかにされた.データの歪度がある程度大きい場合,スチューデント化を行わない場合であっても,高次元の設定では3次モーメントまでマッチさせるようなブートストラップ近似の方が正規型の近似よりも有限標本でのパフォーマンスが優れていることが数値実験によって観察されているが,既存の理論的結果はこのことを説明できない.本報告では,Edgeworth展開を用いることでこの現象が理論的に説明できることを示す.