統計学輪講 第16回
日時 | 2024年10月22日(火) 15時45分 ~ 16時35分 |
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場所 | 経済学部新棟3階第3教室 および Zoom |
講演者 | 姚雯亭 (情報理工M1) |
演題 | Bayesian Mean-Variance Analysis: Optimal Portfolio Selection under Parameter Uncertainty(文献紹介) |
概要 |
本発表では、ベイズ統計を活用した最適ポートフォリオ選択に関する論文[1]を紹介する。Markowitzモデルは、現代ポートフォリオ理論の基礎となるもので、資産のリターンを最大化しながらリスク(分散)を最小化することを目的とした最適化問題である。この最適化問題の解として、各リスク水準において最大のリターンを達成するポートフォリオの集合は「効率的フロンティア」と呼ばれる。従来のサンプル推定アプローチでは、資産のリターンの平均や共分散行列を過去のデータから推定し、それを直接Markowitz問題に代入して最適解を求める。しかし、この方法はしばしばリスクを実際よりも過小評価した「過度に楽観的(over-optimistic)」な効率的フロンティアを生成する。これは、推定誤差やパラメータの不確実性を考慮していないためであり、特に小規模なデータセットにおいて顕著である。そこで提案されているベイズアプローチは、パラメータ推定に伴う不確実性に対処することが可能であり、より効果的なポートフォリオ選択の解を提供する。また、事後予測分布に基づいた効率的フロンティアを構築できる点も特徴である。数値実験において、従来のサンプル推定やロバスト推定と比較した結果、ベイズ的アプローチの有効性が確認された。 [1] D. Bauder, T. Bodnar, N. Parolya and W. Schmid. Bayesian mean–variance analysis: optimal portfolio selection under parameter uncertainty. Quantitative Finance, 2021, Vol. 21, pp. 221--242. |