統計学輪講 第17回

日時 2024年10月29日(火)
14時55分 ~ 16時35分
場所 経済学部新棟3階第3教室
講演者 清 智也 (情報理工)
演題 最小情報従属モデルの密度比推定
概要

最小情報従属モデルは多変量データの様々な従属性を柔軟に表現できる統計モデルであり、周辺分布を局外母数と見なすところに特徴がある。
コピュラモデルと類似しているが、周辺分布の変換は行わない。
このモデルのパラメータ推定法として条件付き最尤法や擬似最尤法がある。
前者は推定誤差が小さい代わりに計算時間がかかる。後者はその反対である。
本研究では2変量データを対象として、密度比推定の枠組みによる新しいパラメータ推定法を提案する。
2変量データといってもドメインは任意であるため
回帰分析や正準相関分析を含む広いクラスの分析に適用可能である。
講演ではまず最小情報従属モデルの一意存在性定理を解説し、
つづいて相互情報量に関する密度比推定の既存手法について復習したのち、
提案する推定量の定義や性質を紹介する。
また情報幾何学的な考察についても言及する予定である。

(本講演は統計数理研究所の矢野恵佑氏との共同研究に基づく。)