統計学輪講 第20回

日時 2024年12月03日(火)
15時45分 ~ 16時35分
場所 経済学部新棟3階第3教室 および Zoom
講演者 西田 鴻志 (経済M2)
演題 Nonparametric Welfare Analysis for Discrete Choice with Multiple Compensation Timings
概要

経済学において厚生分析は,財の価格や質といった経済環境の変化や,その変化をもたらす経済政策の望ましさを評価する最も重要な分析である.そのため,人々の厚生面での異質性を考慮し,補償変分や等価変分といった厚生指標の分布関数が識別できるかは大きな関心事である.

厚生分析をする際,伝統的には人々の効用関数の形状や異質性にパラメトリックな仮定が置かれていたが,このアプローチには特定化の誤りの問題が危惧される.この問題を避けるため,[1]や[2]を中心に,離散選択におけるノンパラメトリックな厚生分析の可能性を解明する研究が近年発展している.

本研究では,既存研究では財の代金の支払いや補償のタイミングが一時点のみだったところを,そのタイミングが複数ある状況を分析できるように,離散選択の設定と厚生指標の定義を拡張する.そして,その厚生指標の分布関数のノンパラメトリックな識別可能性を明らかにする.

[1]Bhattacharya, D. (2015). Nonparametric welfare analysis for discrete choice. Econometrica, 83(2), 617-649. [2]Bhattacharya, D. (2018). Empirical welfare analysis for discrete choice: Some general results. Quantitative Economics, 9(2), 571-615.