統計学輪講 第24回

日時 2024年01月07日(火)
15時45分 ~ 16時35分
場所 経済学部新棟3階第3教室 および Zoom
講演者 若松 孝明 (情報理工M1)
演題 quantized regressionによる連想記憶モデルの表現(文献紹介)
概要

quantized regressionによる連想記憶モデルを紹介する.
連想記憶とは, 情報をパターンとして分散的に記憶し, 鍵となる情報を与えることで元のパターン全体を再現する方式である. 従来, 連想記憶モデルではHopfield netによる表現の研究が多くあった. しかし, 脳の記憶の仕組みを再現したいという立場に立つと, 上記のモデルでは生物学的, 解剖学的な根拠が乏しいことが知られている. また, 記憶を保持する装置という観点では, Hopfield netでは仮定が強いことや容量の上限が小さいことが指摘されている. そこで, quantized regressionはそれらの問題を対処できるモデルとして提案されている. 特に, このモデルは嗅覚の連想記憶モデルとして有用なのではないかと考えられている.
今発表ではまず, Hopfield netの紹介を行い, Whittle[4]が連想記憶モデルとして紹介しているHamming netとquantized regressionを紹介する. 次に, quantized regressionの容量評価をサイズの大きいランダム行列の固有値分布の性質を利用して行う. 最後に, 数値実験の結果を紹介し, 現状の問題点をまとめる.

参考文献:
[1] Couillet, R., & Debbah, M. (2011). Random matrix methods for wireless communications. Cambridge University Press.
[2] Hopfield, J. J. (1982). Neural networks and physical systems with emergent collective computational abilities. Proceedings of the national academy of sciences, 79(8), 2554-2558.
[3] Whittle, P. (1989). The antiphon: a device for reliable memory from unreliable components. I. Proceedings of the Royal Society of London. A. Mathematical and Physical Sciences, 423(1864), 201-218.
[4] Whittle, P. (2010). Neural nets and chaotic carriers (Vol. 5). World Scientific.