統計学輪講 第12回
日時 | 2025年07月08日(火) 15時45分 ~ 16時35分 |
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場所 | 経済学部新棟3階第3教室 および Zoom |
講演者 | 加藤 真大 (総合文化D3) |
演題 | ミニマックスかつベイズ最適な最適腕識別:処置選択のための適応的実験計画 |
概要 |
本研究では,処置選択のための適応的実験計画における最適なアルゴリズムを提案する.私たちは,複数の処置腕が与えられた状況において,過去の観測値を用いて処置の割り当てを適応的に最適化することにより,期待アウトカムが最も高い処置腕(最適腕)を効率的に発見する適応的実験を検討する.この設定は,固定予算型の最適腕識別としても知られている. 提案する実験では,処置割り当てを二段階で行う.第1段階はパイロット実験であり,各処置腕を均等に割り当てることで,明らかに最適でない処置腕を最適腕の候補から除外するとともに,各処置腕の期待アウトカムの分散を推定する.第2段階では,第1段階で得られた分散の推定値に比例する確率で,最適腕の候補として残った処置腕に割り当てを行う.すべての処置割り当てが終了したのち,標本平均が最大となる処置腕を最適腕の推定値として選択する. 本稿では,この単一の実験計画が,リグレット(simple regret)の意味において,漸近的にミニマックス最適かつベイズ最適であることを示す. Kato, M. Minimax and Bayes Optimal Best-arm Identification: Adaptive Experimental Design for Treatment Choice (arXiv:2506.24007) |