統計学輪講 第14回

日時 2025年10月07日(火)
15時45分 ~ 16時35分
場所 経済学部新棟3階第3教室 および Zoom
講演者 佐々木 景友 (経済M1)
演題 Time-varying expected shortfall with realized stochastic volatilities
概要

期待ショートフォール(ES)やValue-at-Risk(VaR)の推定および予測は、リスク管 理において重要な課題である。特に ES は、Basel Ⅲ において VaR よりも適切な テールリスクの指標として採用されて以来、広く注目を集めている。これまでにも CAViaRモデル、CAREモデル、さらにはボラティリティをモデリングしたGARCHモデル やStochastic Volatility(SV)モデルなど、様々なモデルによってESやVaRの測定お よび予測が試みられてきた。しかしながら、これらの先行研究においても、ESと VaRの推定精度や予測性能には改善の余地が残されている。

本研究では、expectile に基づき ES と VaR を同時に推定可能な CARE モデルと、 Realized Stochastic Volatility モデルを統合した新たなアプローチを導入する。 このアプローチを用いることで、ESの時間的変動を迅速かつ的確に捉え、従来よりも 高い精度で推定・予測することを目指す。

発表では、提案モデルの構成方法を示すとともに、実証的に得られたESおよびVaRの 予測結果について報告する。本発表は大森裕浩先生との共同研究に基づく。

[1]Takahashi, M., Yamauchi, Y., Watanabe, T., & Omori, Y. (2024). Realized Stochastic Volatility Model with Skew-t Distributions for Improved Volatility and Quantile Forecasting. arXiv preprint arXiv:2401.13179
[2]Taylor, J. W. (2008). Estimating value at risk and expected shortfall using expectiles. Journal of Financial Econometrics, 6(2), 231-252.