統計学輪講 第17回

日時 2025年10月28日(火)
14時55分 ~ 16時35分
場所 経済学部新棟3階第3教室 および Zoom
講演者 岡田 謙介 (教育)
演題 ベイズファクターに関するTuring-Goodの定理における1/2次モーメントの 特徴について
概要

ベイズファクターはベイズ統計学におけるモデル比較の中心的な指標であり、データ を所与としたときに2つのモデルが支持される程度を、周辺尤度の比として定量化し たものである。I. J. Good が提出したベイズファクターのモーメントに関する Turing-Goodの定理(Good, 1985)は、一見反直感的でありながら明快で一般的な結果 を与えており、近年改めて注目されている。Sekulovski et al. (2024)のGood checkは、この定理を用いてベイズファクターの計算が適切に行われているかを経験 的に検証するものであり、モデル比較結果の信頼性を評価する上での新たな方法を提 供する。本研究では、このGood checkを念頭に、同定理において1/2次モーメントが 特徴的性質を持つことを提示し、その応用上の利点を論じる。とくに、モデルの入替 えに対する対称性と、分散に関するミニマックス性を示す。また数値実験によって、 既存の方法と比較した結果を示す。
[1] Good, I. J. (1985). Weight of evidence: A brief survey. In J. M. Bernardo, M. H. DeGroot, D. V. Lindley & A. F. M. Smith (eds) Bayesian Statistics, 2, pp. 249–270.
[2] Sekulovski, N., Marsman, M. & Wagenmakers, E.-J. (2024). A good check on the Bayes factor. Behavior Research Methods, 56(8), 8552–8566.